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年頭にあたってのご挨拶

理事長 池田 和博

 

 2026年の年頭にあたりまして、謹んで新年のお慶びを申し上げます。早いもので2期目の理事長を拝命してから約半年が経過いたしました。会員各社の皆さま、業界団体をはじめ日頃お世話になっている皆さまにおかれましては、本年も当協会の活動にご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 昨年は改選期にあたりましたので、新体制での始動が7月の定時総会後となり、事業活動の中心を担う新委員会も遅れてのスタートとなりました。

 主な実施事業は

 ・自然科学書フェアの開催

 ・会員向け研修会の開催

 ・会報発行

 ・著作権関連の諸活動

となりますが、前期5月から7月にかけて大垣書店イオンモールKYOTO店で自然科学書フェアが開催され、8月にはフリーランス新法に関する出版梓会との合同研修会が行われました。今期は、会報の発行に加えて、会員各社のご協力のもと出版クラブビル3階ライブラリーにて「自然科学書協会展」が広報委員会により開催されました。SARTRASSARLIBJCOPYなど著作権に関連する団体の会合に参加し、情報の共有などを図っております。このように、引き続き当協会の事業の柱である「自然科学関連の啓蒙と普及」「自然科学関連図書などの国内外への広報と普及」「著作権の普及と啓発」に努めてまいります。

 出版業界は相変わらず厳しい状況におかれています。電子書籍は堅調といわれてはいるもののコミック系を中心とした話のようで、当協会がかかわる自然科学系専門出版物においては、多少の伸びはあるにせよ紙の書籍の落ち込みを補填するには及んでいません。

 リアル書店が減少している状況はもちろんですが、比較的大型の書店も文具やグッズとの併売と店舗が変化しており、その分書籍の棚面積が減っていると思われます。そのため、自然科学系専門出版物は書店を訪れた人の目に触れる場面が減っているのではないかと推察しています。目的の分野でなんとなく目に留まった書籍をパラパラとめくって起きる偶然の出会いの機会が減っているのではないでしょうか。ちょうど、紙の国語辞典で語句の意味を調べてなんとなく隣りの言葉や近くにある言葉に目がいき「へェ~」と思うことがなくなってきたのと同じように。

 もちろん専門書籍が厳しいのはそうした点からだけとは思いません。書店の視点で見ると売れなくなったから置かなくなった、ということもあると思います。根本的には少子化・人口減の問題があります。一冊の成書を読まずとも、部分的な知識であれば判別能力さえあればネットワークで答えが探しやすい世の中でもあります。さらに、教科書を取り上げてみると、教科書指定そのものが減った、指定があっても買わなくても済むようになった、中古サイト、さらには補償金問題、などなど、いろいろなことが複合した結果が売上減のいまの状況といえます。

 文部科学省の調査によると、ここ数年大学入学者数は減っていません。10年前、20年前に比べるとむしろ増えています。一方で、学部学科によると思いますが、半数近くの大学が定員割れを起こしているという報道もありました。しかしながら、18歳人口は確実に減っていきます。大学生を読者対象に考えた場合も、分野やレベルそれに時間軸をどう捉えていくか難しいところです。

 とはいえ、「市場環境をどう捉えて、どのような出版物を生み出し、どのように知らしめていくか」という行為は、出版社のもつ出版活動そのもので、市場動向や時代背景に関係なく常につきまとっていることのように思います。つまり、紙や電子など媒体や形状、あるいは製作過程や販売環境の変化はあっても出版活動そのもののキーに変化はないのではないかと。私自身当協会の代表ではありますが、一出版社の代表でもあります。数字が悪いと嘆きたくもなりますが、そのことを忘れずに前を向くように心がけています。

 先が見通せないどころか足元が見にくい状態といっても過言ではないのかもしれませんが、当協会では委員会を中心とした活動を通して情報の共有・発信をして皆さまのお役に立てるよう務めてまいります。

 当協会は今年創立80周年を迎えます。この80年は日本の科学技術の発展とともに歩んできた歴史そのものだと思います。そこに自負と責任を持ちつつ、今後も専門情報の流通に寄与してまいりたいと思います。どうぞ皆さまのご指導とご協力をお願い申し上げます。