自然科学書協会タイトル

 一般社団法人 自然科学書協会 
謹 賀 新 年
~2014年年頭に当たってのご挨拶~


一般社団法人 自然科学書協会
理事長 金原 優 

理事長 金原 優

 自然科学書協会の第63期がスタートし、販売・出展、著作・出版権、研修、広報、総務の各専門委員会、ならびに税制・再販流通特別委員会の活動が始まりました。それぞれの委員会は各委員長の指揮のもとで、会員各社から選出された委員によって今期の具体的な行動目標を設定し、協会活動の活性化に向けて動き出しています。協会内外の関係各位におかれましてはそれぞれの立場でご協力をお願いします。
 2014年も明け、出版界は昨年からの未解決問題に積極的に取り組んでいかなければなりません。出版界全体としては「出版者の権利」、「特定秘密保護法」等出版活動に直接の影響を与える問題もありますが、自然科学系の専門書にとっては更に別の大きな問題に取り組まなければなりません。「出版者の権利」問題は専門書にとっても重要な問題ではありますが、今回の問題の発端は一般書、それもコミック雑誌の海外における電子海賊版に対して出版社が一定の権利を得て侵害者に対抗するための手段として検討されているものであり、以前は別として、海賊版問題の存在しない専門書にとっては直接の影響はありません。一般書は主として印税収入で生計を立てている著作者によって執筆されており、出版契約も権利の移転・委託も専門書とは大きく異なります。著作者の考え方、権利侵害に対抗する姿勢も専門書の著作者である研究者とは立場が異なり、少なくても現在検討中の「出版者の権利」問題で議論されている内容は専門書には当てはまらないものです。
 専門書にとって大きな問題はむしろ「出版の電子化」問題であり、自然科学書協会としてもこれまで以上に積極的に取り組む必要があります。ある団体の調査によると企業の約3分の1は既に紙媒体の出版物を電子化して社内で共有利用しているという結果が出ています。出版社から直接許諾を得て電子化しているものもあるかも知れませんが、複製管理団体ではまだ電子化の許諾体制が整っていないことを考えると、この電子化複製の殆どは無許諾で行われていることになります。問題は許諾の有無ではなく、利用者が出版物を電子化して利用したいという要望に対して出版界の対応が追い付いていないことにあります。自然科学系の専門書は、それが書籍であれ雑誌であれ、利用者はその発行されている膨大な情報から自分の求める資料を探し出し、研究開発に役立てていかなければなりません。そのためには情報検索と保存・利用のシステムが必要であり、それは出版物を電子化することによってはじめて可能になります。専門書出版社としてはこういった電子出版と情報活用が可能になる方策を提供していかなければなりません。その意味では利用者の方がはるかに先を行っており、我々出版社の対応が遅れているというのが現実です。
 出版物の売上が減少傾向を示し始めて相当の年数が経過しました。専門書も例外ではなく、読者利用者の活字離れが顕著であるとされています。しかし本当は利用者は活字から離れているのではなく、活字を読む媒体が変化していることに過ぎないと思います。利用者は依然として情報は活字を通して得ており、それを伝える媒体が紙から電子に変化しただけなのでしょう。電子的な手法と情報提供によって必要とされる情報を的確に利用者に届けることは専門書にとって不可欠であり、それが日本の科学技術を支える柱になります。
 今年4月には消費税が増税になり、出版物の販売にも影響が出るかも知れません。しかし出版社はそれ以上の商品を用意し、専門書の利便性と付加価値を高めて利用者が利用しやすい環境を整えることを目標として出版活動を継続して参ります。皆様のご支援をお願い申し上げます。




         

一般社団法人 自然科学書協会(NSPA)